【夏の電力切迫の恐れ、全国の原発54基中42基停止も】2011年5月10日 朝日より
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、定期検査の終了予定を過ぎてもなお、営業運転再開を延期している原発が7基にのぼっている。
安全対策や地元の理解が求められているためだ。今夏までに6基が定期検査に入る。
再開できなければ国内の商用原子炉54基のうち、停止要請を受けた浜岡原発をはじめ42基が止まる事態になり得る。
火力や水力も含めた全電源の約2割で、夏の電力供給が各地で切迫する恐れもある。
福島第一原発など被災地で停止中の原子炉を除き、ほぼ年に1回運転を止める定期検査に入っているのは全国で14基。うち7基は4月下旬までに営業運転を再開する計画だったが、10日現在で実現していない。
いずれも今回の事故で経済産業省原子力安全・保安院から緊急安全対策を求められた。
九州電力は「福島の状況が安定していない」ことも延期の一因に挙げる。
定期検査後の運転再開には地元の了解は法手続き上、必要ない。
しかし各社とも県や市町村と安全協定を結んでおり地元の了解がなければ再稼働は難しい。
緊急安全対策については、すでに保安院が、電源車の配備など各原発ごとの短期的な取り組みは妥当だと結論。
政府は先に運転停止を求めた浜岡原発以外は運転を続けても問題ないという姿勢を示している。
しかし福島の事故が長引き、政府も抜本的な対策が示せないなか、原発が立地する地域では住民の理解を得る難しさが増しつつある。
四国電力は、毎年秋に伊方原発付近の2万1千戸を戸別訪問し、原発に理解を求めているが、今年は対象を半径20キロに拡大したうえ前倒しして、11日から訪問することにした。
運転中の原発のうち、関西電力美浜3号機が数日中に定期検査に入る。
8月までにさらに5基が定期検査で止まる見込み。
中部電力浜岡4、5号機は政府の要請で停止するが、検査中の原発が運転再開できない場合、被災地の原子炉を除く39基のうち夏までに浜岡原発を含め27基が止まる。
被災地の15基を加えれば停止中は42基で、全原発の発電能力の8割を占める。
中部電は、7月の電力需要に供給が追いつかない見通しとなり東電への融通をやめることにした。
九州電力も玄海原発での運転再開の見通しがたたず、8月の需要ピーク時に電力が20~25%不足すると見込む。
関電も「停止が長引けば電力の安定供給に支障が出る恐れがある」(本店広報室)という。
引用、以上。
菅首相には支持率回復への執着はあっても、「戦略観」というものが何一つありません。
浜岡浜岡原発の停止、自然エネルギーへの転換等、菅首相は次々と「脱原発」を打ち出していますが、そうなれば、まず、マクロの視点からでは、日本のエネルギー戦略は大転換を余儀なくされます。
原子力・火力・水力等のエネルギー戦略のバランス良い配分が欠け、当面は、火力と水力発電を主にしていかなければならなくなります。
しかし、火力発電の燃料は石炭・天然ガス・石油などの資源です。これらの資源は、中東における情勢不安、ロシアにおける供給不安定化が手伝い、価格が安定していません。
また、北アフリカ・中東の不安定化によって、既に世界三大指標原油の一つであるドバイ原油は価格が高い位置で推移しており、中東の情勢不安が長期化すれば資金負担は膨大なものとなるでしょう。
中国の南シナ海、東シナ海侵攻も、日本のシーレーンにとっては大きなリスク要因であり、エネルギーの原油依存は避けるべきです。
ロシアのLGN供給の不安定化やロシアの資源外交の手練手管をつぶさに見ていくと、ロシアに対しても一定の警戒感をもって推移を見守っていく必要があります。
いずれにしても、日本のエネルギー供給の不安定化と電気料金の高騰を招く可能性が高まりました。
ミクロ的な視点からは、中部地方に移転していた工場がさらに西日本に移転したり、海外に移転する可能性が強まっています。
こうなってしまうとただでさえ減速している日本の経済が冷え込んでしまい、復興計画に大きな妨げとなることは明らかです。
いずれも、311の震災を機に、菅首相は「最少不幸社会」ではなく「最大不幸社会」に大きく舵を切りました。
貧乏神退散!福の神やってこい!!