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2011/05/11 【金正日総書記が中国に戦闘機を要求も拒否される?】

【金正日総書記が中国に戦闘機を要求も拒否される?】2011年5月11日 サーチナより

韓国の中央日報は9日、北朝鮮の金正日総書記は2010年5月の訪中時に、中国に最新戦闘爆撃機「飛豹」などの最先端兵器の供与を要請したが、中国側は拒否したと報道した。

また、名前を伏せた「専門家」の話として、北朝鮮は実際に中国から戦闘機を購入しようとしたのではなく、おそらく韓国哨戒艇「天安艦」事件以降の中国の北朝鮮に対する支持の程度を確かめるためだったと伝えた。

中国の専門家、呂超氏は9日、韓国の報道に対し、「この一連の報道のポイントは中国が北朝鮮に武器を供与しなかったという点ではなく、中朝間に矛盾が生じているという点にある。韓国メディアが中朝の離間策に力を入れていることに警鐘を鳴らすべきだ」と語った。

北京の消息筋の情報として、金正日総書記が訪中時に提出した購入明細票に戦闘爆撃機「飛豹」30機、PHL-03高性能放射砲やZTZ-99戦車などが含まれていたという。

北朝鮮側は「天安艇」事件以降、韓国、米国の報復攻撃の可能性があるとして、利害をともにする立場の中国に最新兵器の供与を求めた。

中央日報は、北朝鮮側の供与要請を中国が拒絶したと報道している。

北朝鮮の武器輸出入は、一貫して韓国メディアが注目する焦点だ。

韓国KBSテレビは4月8日、北朝鮮の武器輸出入をテーマにした特別番組を報道、北朝鮮の武器輸出入は非常に活発で、主に第三世界の国家に輸出され、一般的な武器と引き換えに外貨を取得、最先端兵器を輸入している。

このテレビ局は、10年間に渡り北朝鮮は中国、ロシアから4.7億ドル以上の最新兵器を輸入しており、ドイツ、オーストラリア、イタリアなどの西側国からも北朝鮮へ武器が輸出されていると報道した。

遼寧省社会科学院の北朝鮮韓国研究センターの呂超主任は、9日、環球時報の取材を受け、現在、朝鮮半島の情勢は不均衡な状態にあるが、韓国は中国と北朝鮮の間の矛盾を突いて中朝間の関係悪化を企てる「離間策」を使って、北朝鮮を孤立させようとし始めていると述べた。

呂超主任は、「現在、米韓が軍事演習で北朝鮮を威嚇し、韓国が最新兵器を大量に輸入している状況で、北朝鮮が各国から武器を輸入して安全性を強化したいというのはおかしいことではないだろう。北朝鮮半島情勢の緊張緩和には、韓国、北朝鮮双方がそろって対話することが必要で、単純に矛盾を騒ぐより、北朝鮮の武器輸入が不要であることを指摘するべきだ」と述べた。

引用、以上。

本記事からは、微妙な「中朝関係」の一端を垣間見ることができます。

本記事で、韓国の専門家が、「北朝鮮は実際に中国から戦闘機を購入しようとしたのではなく、おそらく韓国哨戒艇『天安艦』事件以降の中国の北朝鮮に対する支持の程度を確かめるためだったと伝えた」を述べましたが、これが仮に真実だとすれば、北朝鮮は中国に対して疑いの目を向けている可能性があるということです。

北朝鮮は「カオス化する世界」情勢の中で自国の生存性を高めるために中国と同盟を結んでいます。

しかし、中国はその目的として自国とアメリカとの間の「緩衝地帯」(バッファー・ゾーン)として北朝鮮を利用しています。また、アメリカも自国と中国との緩衝地帯として韓国を利用しています。

結局、中国は「現実政治」(レアルポリティーク)の観点から北朝鮮を利用しているに過ぎないわけですから、北朝鮮が中国の支援が果たして本物かどうかを疑ったとしても無理はありません。

しかし、中国が北朝鮮に対して武器を供与しなかったことが、果たして朝鮮半島の緊張緩和につながるのかと言えば、まだ分かりません。

武器供与は好きな時間、好きな場所で行うことができるからです。引き続き、日本の国防にも大きな影響を与える朝鮮半島情勢を注視していく必要があります。