【菅首相、根回しもないまま原発停止。報道被害拡大が懸念】
地元自治体や中部電力への根回しも無いまま、これまでの脈略を完全に無視して発された唐突の菅首相の浜岡原発全面停止要請を受け、全国に大きな衝撃が走りました。
今回の浜岡原発の停止は、津波対策の強化などに必要な「おおむね2年程度」(経済産業省原子力安全・保安院)の見通しとされていますが、中部圏の供給不足とともに、首都圏、西日本圏の安定供給にも大きな不安が出ています。
昨日午前、菅下ろしの気運が与野党ともに高まる中、小沢一郎氏が原発対応を批判し、政府の責任を追及していく考えを示しました。
こうした「政権の危機」を受け、菅首相が起死回生を狙った破れかぶれのパフォーマンスが「原発叩き」による政権浮揚と見られます。
今回の措置を受け、全国で反原発運動が活性化し、全国でドミノ式に原発が停止していく危険もあります。
今回の要請について、菅首相が日本全体の電力不足や経済への影響、国民の生活に配慮した形跡はありません。
浜岡原発が全面停止になれば、影響は中部圏のみならず、首都圏への電力融通も止まりますし、関西電力から中部電力への電力融通が行われれば、ドミノ式電力不足が日本全土を覆い、経済活動への影響は深刻なものになります。
特に、中部地方はトヨタ自動車を頂点にして、自動車関連産業が集積しています。三菱重工業の城下町でもあります。
産業界は、電力不足の東日本から、事業拠点や生産活動を中部・西日本へシフトする動きを強めたところでもありました。
本当に「国民の安心と安全」が心配ならば、なぜ、震災後、2ヶ月間も経っているのに、浜岡原発を含め、日本全土の原発の防潮堤建設等に、政府は全く手をつけていなかったのでしょうか?
また、浜岡原発全面停止の代替となるエネルギー供給に対して、政府は国民や産業が納得のいく対策を示すべきです。
これまで浜岡原発の安全対策に関わっていなかったにもかかわらず、唐突に浜岡原発全面停止を言いだしたのは「国民の安心と安全」のためでなく、「菅直人氏の安心と安全」のためであることは明らかです。