【ビンラディン容疑者殺害:テロ収束は不透明】2011年5月2日13時30分 毎日より
国際テロ組織アルカイダにとり、指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の死亡は大きな精神的支柱の損失を意味する。
しかし、対テロ戦争の圧力でアルカイダは分派化、地域化が進んでおり、ビンラディン容疑者ら「中央」の指導は象徴的な意味合いにとどまると指摘する専門家は少なくない。
今後テロ活動が収束するかは不透明だ。
引用、以上。
オバマ大統領は日本時間2日午後0時半過ぎ、国民向けにテレビで緊急声明を発表し、01年の同時多発テロの首謀者とされる国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者を殺害したことを明らかにしました。
国際テロで米欧と近代文明に聖戦を挑み、同テロで世界情勢を一変させたイスラム過激派の“英雄”の死で、同容疑者を最大の標的として米政権が進めてきた「テロとの戦い」が大きく前進したと米国では喜びが広がっています。市場も好意的に受け止めているようです。
アルカイダを率いるウサマ・ビンラディンの死は、本当であれば、一種のターニングポイントとなります。
しかし、ビンラディンの肉体は死すとも、彼の抱いた思想は残ります。
しかもそれはイスラム教徒として一番甘美な聖戦に身を捧げるという思想です。
よって、ビンラディンの死は国際テロ組織アルカイダの壊滅を必ずしも意味せず、彼の死がアルカイダ組織の中で英雄視され、神話となって戦いが拡大してしまう危険性もあります。
これに対するアプローチとしては、「日本占領」時のような抑圧的アプローチではなく、彼らの背景的要素(コンテクスト)に応じた政治体制の構築を中心とした自助努力型アプローチに切り替える必要があるでしょう。
この場合、イスラム教徒側にも現状を憂いている改革者が必要です。
特にイスラム教には成長因子が無く、抑圧的な因子があり、これらの要因と閉鎖的社会が合わさり、改革はより困難を極めることと思われます。
すでにカルザイ政権には、アフガニスタンを統治する能力が失われかけています。
2014年に国際治安支援部隊が撤退して、アフガニスタン政府に治安権限が移譲されて以後、アフガニスタン人自身が、アフガニスタンの本当の新生に向けた改革を断行できるかどうかが鍵となります。