【石油大国でガソリン危機!?露、事実上の禁輸措置】2011年4月30日 産経より
世界最大の産油国、ロシアの各地でガソリンが不足する異常事態が起き、政府は5月からのガソリン輸出税を前月比44%引き上げるなど、事実上の禁輸措置を決めた。
ガソリン不足は、石油企業が政権による国内ガソリン価格の統制策に“反発”し、製品を輸出に振り向けたことで招かれた。
石油の国際価格高騰という追い風を受けるロシアだが、国内では難しいかじ取りを迫られている。
“ガソリン危機”は極東のサハリン(樺太)から西部のサンクトペテルブルクまで10以上の地方で発生。
閉鎖したり販売量を制限したりするガソリンスタンドが相次ぎ、各地でガソリンを求める長蛇の車列ができている。1週間で価格が3割上昇した地方もある。
こうした状況が生まれた最大の原因は、プーチン首相が2月、石油業界に国内のガソリン価格を抑えるよう“指導”したこととされている。
中東・北アフリカ情勢の緊迫などで国際石油価格は高騰しており、それが国内に波及するのを防ぐ狙いだった。
ただ、この人工的な価格統制策の結果、石油業界にとってはガソリンを輸出に回す方が有利となり、それが国内での不足につながった。
経済紙ベドモスチによれば、今年第1四半期のガソリン生産は前年並みだったのに対し、輸出は前年同期比で33%も増えた。
ロシアでは今年12月に下院選が予定され、ガソリンの不足や価格高騰は政権への打撃となりかねない。
政府は主要石油企業に5月のガソリン輸出を全面的に停止するよう命じるとともに、輸出税も1トンあたり408ドルに引き上げた。
ロシアの石油精製品輸出は年間約300万トンと多くはないものの、キルギスやウクライナなど一部の周辺国ではガソリン調達に支障が出る可能性もある。
引用、以上。
資源大国のロシアが国内需要を賄いきれずに、国外への輸出を規制し始めています。
ロシアは資源大国でありながら、その採掘技術、精製技術や投資資金の不足により、自国に埋蔵されている資源を国家戦略に有効に生かせずにいるのが現状です。
すなわち、ロシアは埋蔵量に比して精製量が適正になっておらず、国内需要すらも賄えていない現状にあります。
ロシアは、日本からの資源開発投資を促進しようとしていますが、それは日本の資本と先端技術、巨大なエネルギー市場をあてにして、エネルギー生産の大幅増を目指そうとしているからに他なりません。
ロシアはこれまで資源外交の観点から、国内需要への供給よりも、国外への輸出を優先してきた過去があります。
しかし、2012年のロシア大統領選挙を戦う上で国内の経済を立て直しておく観点から、事実上の禁輸措置を打ってきたものと考えられます。
こうした措置を受け、迫り来る世界的なエネルギー危機に対して、資源大国ロシアが受け皿になりうるのか否か、再検証が必要になってきました。
これは、日本のエネルギー戦略にも関わってくるものであり、我々としても注視していく必要があります。