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2011/04/19 【日米同盟強化の流れを確かに】

【日米同盟強化の流れを確かに】2011年4月18日 日経より

東日本大震災の惨禍と戦う日本に揺るぎない支援を提供していく。来日したクリントン米国務長官は松本剛明外相との会談でこう約束した。

大震災を受け、日米は被災地の支援や福島第1原子力発電所の事故をめぐり、緊密に連携してきた。これほど両国の結束が強まったことは近年ないだろう。

いま大切なことは日米同盟の強化の流れを止めず、さらに後押しすることだ。

震災後の自衛隊と米軍の協力はこれまでにない規模に広がった。

米軍は「トモダチ作戦」と称して最大約1万6千人を動員し、艦船約20隻などを使って物資を提供したり、捜索や救助に当たったりした。

規模の大きさだけではない。米軍は津波で破壊された仙台空港にパラシュートで降下し、数日で一部の滑走路を使えるようにした。

孤立した宮城県気仙沼市沖の離島、大島にも強行上陸し、復旧に当たった。

クリントン長官は原発事故についても、あらゆる支援を惜しまない姿勢を鮮明にした。

日米はすでに原子炉を冷やすために知恵や技術を出し合っているが、危機の出口はみえない。さらに協力を深めてほしい。

日米同盟は平時には「空気のような存在」となり、ありがたみは見過ごされがちだ。

しかし、大震災が示したのは「有事」に同盟が果たす役割の大切さだ。

今回は在沖縄米軍の部隊も次々と被災地に駆けつけた。

米国は日米安全保障条約上、日本への攻撃に対処しなければならないが、災害時に助ける義務は負っていない。

それでも大規模な支援を続けるのは日本が同盟国であり、重要なパートナーだからである。

強まった同盟を後戻りさせないよう、菅直人首相は指導力を振るってほしい。

両国は当初、4月末にも閣僚級の日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、共通戦略目標や脅威への共同対処策を協議するはずだった。

だが、大震災の影響で先送りされる方向だ。アジアでは中国軍の海洋進出や北朝鮮の核問題などの火種もある。

できるだけ早く2プラス2を開催し、日米協力の成果を同盟の一層の強化につなげる道筋をつけてほしい。

引用、以上。

民主党政権発足後、日米安保条約改定50年を迎えましたが、普天間飛行場の移設問題が迷走続きで、両国関係は冷え切る一方でした。

今回、米軍が2万人以上の救援部隊を導入した背景には、オバマ大統領の思いもあるでしょうが、日米両国が50年間築いてきた友情、絆があったからにほかなりません。

米軍のあまりにも大規模な支援活動を見て、沖縄の新聞は「裏に政治的意図(普天間基地問題の解決)があるのではないか」と勘ぐり、批判キャンペーンを張っています。

しかし、それはあまりにも現実を見ない批判です。

現実に、米軍が現実に空母を派遣し、地上部隊が上陸し、献身的な救援活動で多くの人々の命を救い、自衛隊が行けない孤立地に食料を運搬し、壊れたインフラを迅速に修復しています。被災地の方々は皆、米軍に感謝しています。

日米同盟の「新たな50年」の始まりの年に、こうした日米同盟の絆を深める出来事があったことは象徴的です。

これを機に、日本政府は、強力なリーダーシップで普天間基地問題を迅速に解決し、日米同盟の新たな時代を切り拓くべきです。