【海賊、初の日本移送へ=商船三井タンカー襲撃-政府】2011年3月8日 時事通信より
中東オマーン沖のアラビア海で商船三井の運航するタンカー「グアナバラ」(バハマ船籍)が海賊に襲撃された事件で、政府が、米海軍が拘束した海賊4人を日本に移送する方針を固めたことが8日、政府関係者への取材で分かった。
米側が日本に海賊の身柄を引き渡す意向を打診していた。
2009年成立の海賊対処法は海賊行為を処罰対象としたが、海賊の日本移送は初めてとなる。
政府関係者によると、海上保安庁の航空機などで移送する。
以上、引用。
「アフリカの角における不朽の自由作戦(OEF:Operation Enduring Freedom – Horn of Africa)」では、NATO諸国を中心として日本や韓国を含む25か国で構成された第152合同任務部隊(Combined Task Force 152)がアラビア海、ソマリア沖などの広範囲な海域で海上治安活動(MSO:Maritime Security Operations)を展開しています。
現代の海賊はマンガ『ONE PIECE』に登場するような海賊とは異なり、極めて高度に武装されています。
彼らはピストルやライフルで武装することは当たり前で、必要とあれば機関銃からロケット砲まで持ち出してくる「海上の武装集団」とも言える存在です。
「アフリカの角における不朽の自由作戦・海上阻止活動(OEF-MSO)」の意義は、まさにこのような武装集団から、付近を通航する商船を保護することにあります。
米軍は、確保した海賊の身柄について日本側で引き受けを要請し、今回、日本政府が検討の結果、海賊の身柄を日本に移送することが決定されました。
本来であれば、自衛隊派遣前の時点で海賊取締りに関するあらゆるケースを想定した上でシミュレーション(図上演習)にかけ、ネガティブファクターをあらかじめ洗い出した上で法律を制定しなければならなかったはずです。
現場の指揮官がいちいち政府に問い合わせているということは、行動ルールが定まっておらず、背広組と制服組との意思疎通の無さを露呈した格好です。
今回は日本に移送するケースでしたが、逆に外国へ移送するケースもあり得るわけで、政策の段階で詰めが甘いと言わざるを得ません。
これは憲法9条の束縛により、「平時における交戦規則」(SROE=Standing Rule of Engagement[常備交戦規定]、米国では統合参謀本部議長指令により決定される)が自衛隊に定められていないこと、各国海軍との連携作戦に際して必要な要素をあぶり出すことをしていなかったことが原因と考えられます。
要するに事前準備が足りなかったということです。
シーレーン防衛は日本の生命線です。現に日本のタンカーが現実に海賊に襲撃されている以上、日本政府は即刻、憲法9条の解釈を見直し、SROEを定め、自衛隊と各国海軍との連携を密にし、日本の貨物船の運行を守り抜く責任があります。