【中国機領空接近1.5倍に 尖閣 第一列島線で攻勢】2011年3月4日 産経より
中国の軍用機が日本領空に接近する回数が、平成22年度は前年度の1.5倍に上る見通しであることが3日、分かった。
2日に軍用機2機が尖閣諸島の北約55キロまで接近したことも、尖閣そのものに加え、九州―沖縄―台湾-フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越える形での軍事作戦を見据えた情報収集活動の可能性が高い。
防衛省・自衛隊は中国側が今後この海・空域で攻勢を強めてくると警戒している。
枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、中国機の尖閣接近について「軍事力近代化と活動拡大は懸念事項だ」と述べ、動向を注視していく姿勢を強調した。
防衛省によると、22年度に入り日本領空付近での中国機の飛行は急増している。
領空の外側に設けられた防空識別圏に侵入した際の航空自衛隊戦闘機による緊急発進(スクランブル)のうち、中国機に対するものは昨年12月時点で48件で、すでに21年度の38件を上回った。
今年に入っても飛行は続いており、3月末までに1.5倍の57件を超えるのは確実だという。その中にあって2日の飛行について、自衛隊幹部は「尖閣周辺でこれほど領空近くに入ってきたことは前代未聞」と語る。
通常、中国機が日本領空に近づくパターンは2通りある。東シナ海のガス田周辺への飛行が中心で、上海を拠点にガス田を周回するパターンと、西方からガス田に飛来して黄海まで北上するパターンだ。
ガス田から尖閣に向かう飛行は異例で「通常の飛行エリアから300キロ以上南下した」(同)という。
尖閣に接近した2機は「Y8」で、情報収集機型と哨戒機型の2種類。2機での飛来も珍しく、アンテナを多く搭載した情報収集機型は自衛隊の地上レーダーなどが出す電波を集め、哨戒機型は海上自衛隊艦艇や海上保安庁船艇の警戒態勢を確認していたとみられる。
尖閣への接近飛行が継続されるとの見方も多い。空自戦闘機の対処能力や自衛隊の電波・電子情報を偵察しておくことは、有事の際に空自戦力を無力化し、航空優勢を確保するうえで不可欠な活動だからだ。
中国軍は例年春に上海近くの海域で訓練を行っているが、昨年は訓練海域をより沿岸から離れた場所まで広げた。今年はさらに訓練海域を拡大することが予想される。
接近飛行は尖閣諸島や第1列島線への戦力展開能力向上を念頭に、航空機による艦隊防護態勢を強化する狙いもありそうだ。
引用、以上。
今回の産経新聞の分析は非常によく正鵠を射ていると思います。
そして、中国海軍は現在、航空母艦の建造と戦力化に血道を上げていますが、航空機による今回の偵察飛行は、航空母艦を活動させやすいように、航空母艦の活動の第一の障害となる航空自衛隊を排除するためのデータを収集していたものと推測されます。
航空母艦は多数の護衛艦艇を伴って活動しますが、この護衛艦艇は航空機には弱いのです。その為に、今から航空自衛隊の情報を収集して、来るべき活動に備えているものと考えられます。
いずれにしても、中国機領空接近の増加は、九州-沖縄-台湾-フィリピンを結ぶ「第1列島線」への戦力展開に向けて、中国が着々と準備を進めていることを意味します。
民主党政権が内部事情で迷走している間に、刻一刻と「国難」は迫っています。