【<リビア>カダフィ政権 原油施設のある都市に勢力を集中】2011年3月4日 毎日新聞
北アフリカ・リビアでカダフィ政権軍は4日も、反政府勢力が支配する東部の都市などを空爆した。
同国の基幹産業である原油関連施設の大部分は反政府側が掌握しているが、反転攻勢に転じる政府側は原油施設のある都市に勢力を集中している模様だ。
原油関連施設の支配権を巡る攻防が激化している。
ロイター通信によると、リビアの最高指導者カダフィ大佐を支持する部隊は4日、石油精製所のある東部マルサエルブレガを空爆。
ここの港は東部の原油輸出の5~10%を担い、ある石油技術者は「カダフィは石油を奪い返しに来た」と話した。
カダフィ政権の軍用機は同日、東部アジダービヤも空爆した。
一方、首都トリポリの西方50キロのアズザウィーヤでは4日、約2000人の政府軍勢が取り囲み緊張が高まっている。同地の積み出し港は国内原油輸出の13~23%を担う主要港の一つ。
反政府勢力が市を掌握した2月末以来、政府軍は数度にわたり攻撃を仕掛けた。
リビアでは2月中旬からの反政府運動以降、各地の反政府勢力が大部分の油田や積み出し港を支配下に収めたと伝えられた。
カダフィ氏は政権の生き残りをかけて、石油施設の奪還に力を入れており、政府軍は4日までに東部の港湾都市ラスラヌフを奪還。
ロイター通信によると、反政府勢力はラスラヌフの再度奪還とトリポリへの進攻を目指し、既にライフルや対空砲をそろえ形勢を立て直した。
リビアの戦況は、おおむね「カダフィ政権=首都周辺と西南部」「反政府勢力=東部一帯」の構図が定着してきた。
英フィナンシャル・タイムズ紙によると、反政府勢力の支配地域で操業する外国石油企業関係者の中には、反政府勢力との間でビジネス協議を始めたところもあるという。
一方、欧米諸国が相次いでカダフィ氏家族の在外資産を凍結する中、政権は自派の石油施設から原油輸出を再開させて歳入の回復を狙っているという。
このためドイツのウェスターウェレ外相は今後60日間、リビア石油産業への支払い停止を呼びかけた。
しかし、イラクの旧フセイン政権が規制を破って原油を密輸したように、施設さえ押さえておけば、買い手を見つけることは難しくない。
アフリカ4位の原油生産国リビアは通常、世界総生産の2%に当たる日量160万バレルを生産。2月末から原油生産量が半減し、東部トブルクなどで一部の輸出が再開したが、大幅な輸出減が続いている。
引用、以上。
リビアは国土がトリポリタニア(首都トリポリ付近)、フェザーン(南西部)、キレナイカ(東部)と三つの地域に分かれています。
記事には「カダフィ政権=首都周辺と西南部」「反政府勢力=東部一帯」とありますが、「体制派はトリポリタニア」「反体制派はフェザーンとキレナイカ」という構図の方が正確です。
フェザーンには天然ガス関連施設、キレナイカには石油関連施設が集中しています。
いずれも、動乱の初期に反政府勢力に抑えられたとの外国メディアの報道もあり、外国メディアの情報も加味して、正確なリビア情勢を探っていく必要があります。
日本メディアはリビア国内に一人の報道関係者も入れておらず、隣国のエジプトからの報道の引用が多く、情報の信用性は高くありません。
リビアなどに取材班を入れているアルジャジーラなどのメディアもウォッチして、情勢を見極めていくことも大事です。
アルジャジーラなどの外国メディアは、日本のNHK(BS1)の朝のニュースで見ることができます。視聴できる環境のある方は是非ご覧頂き、日本のメディアの報道内容との比較も含めて、参考にされることをお勧め致します。