チュニジアの「ジャスミン革命」がエジプトに波及し、長期独裁政権を行って来たムバラク政権が正念場を迎えています。
ムバラク政権は29年間に渡って、民衆を強権で鎮圧し来ました。しかし、貧困、人口の6割を占める若者層の高い失業率、貧富の格差拡大、腐敗などの長期独裁政権の矛盾が一気に露呈し、反政府デモが続いています。
エジプトはアラブ最大の人口を有する「中東の要」です。
エジプトは「親米国家」としてイスラエルとも和解しており、対イスラエルでは米国に協力して、中東の安定剤の役割を果たして来ました
欧米諸国は口では民主化を歓迎しても、イスラム過激派(イスラム原理主義者)による革命が起これば、アラブ全体が反米・反イスラエルに寝返ることを強く懸念しています。
本記事は、英仏独首脳がムバラク政権の枠組内での「政治、経済、社会改革」を促し、事態を沈静化させようとしたものと見られます。
また、エジプトの情勢不安を受け、国際市場で原油と金の価格が急激に高騰しており、多くの企業の収益を圧迫するという懸念や、中東からの原油供給が揺らぐ懸念も出ています。
革命が生起したことによる政情の不安定化が、果たしてその民衆にとって良いことか悪いことかについて冷静に考察する必要があります。
端的に言えば、革命の成否は、革命を起こした民衆自身にかかっていると言えます。
アフガニスタン、イラクの事例は、革命が他者によって起こされたのか、それとも民衆自らの手によって起こしたのかの違いはありますが、あまり成功しているとは言いがたいものがあります。
革命の成否を握る本当の鍵は、その民衆の中から真に民衆を思い、民衆のために政治を行う指導者が現れるのかどうかということです。
その点ではムバラクはともかくとして、「反政府運動の核」となっているエルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長も役不足と言わざるを得ません。