【中国漁業監視船 強力な対抗策が急がれる】2010.12.31 産経
中国が尖閣諸島周辺への威圧を強めている。
漁船衝突事件以降、中国の漁業監視船が計5回、接続水域(領海の外側約22キロ)に現れ、中国農業省は年末の全国会議で、来年から同諸島付近での巡視活動を強化する方針を示している。
中国側は「漁業の安全を確保するため」だとしているものの、尖閣諸島の領有化を狙った動きと見るべきだろう。日本は厳重な警戒が必要だ。
中国の漁業監視船は、ただの監視船ではない。11月下旬に確認された2隻のうちの1隻はヘリ搭載型の最新鋭監視船で、シートの下に機銃を隠している。東シナ海ガス田付近に姿を見せる海洋調査・監視船とともに、中国海軍と密接に連携している。
中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と領有権を争う南シナ海の西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島付近にも、しばしば漁業監視船を出動させている。
今夏、インドネシア警備艇が自国領のナトゥナ諸島沖で操業中の中国漁船を拿捕(だほ)した際も中国の漁業監視船が現れ、漁船の解放を迫った。インドネシアは海軍艦艇を出動させたが、交戦を避けるためやむなく中国漁船を解放した。この監視船は軍艦を改造した最大級の武装艦(4450トン)だ。
これに対し、東シナ海で日本の領域警備にあたっている海上保安庁の巡視船は老朽化が目立つ。防衛費は平成14年度をピークに減少し続けている。
来年度予算案では、武装船に対抗できる大型巡視船の導入やヘリコプターの整備などに402億円が計上された。防衛費には、沖縄・先島諸島への陸上自衛隊配備に向けた調査費3000万円が盛り込まれたが、まだまだ不十分だ。領土、領海を守るための装備をさらに強化する必要がある。
中国監視船が接続水域を越えて日本の領海内に侵入した場合、退去を要請することしかできない。国連海洋法条約は領海内での無害ではない行為に対し、排除することができるとしているが、日本はその規定を作らなかった。
中国漁船が領海侵犯しても、漁業法(立ち入り検査忌避)などの違反容疑で対処するほかない。
領海侵犯を許さない国内法の整備を重ねて求めたい。日本固有の領土を守り、東シナ海を「中国の海」にさせてはならない。