最近、ウクライナに対する世の中の見る目が変化しつつあるように感じます。
侵攻当初は、少しでもロシアを擁護しようものなら、親露派のレッテルを貼られ袋叩きにされる感じでしたが、今は「ウクライナの主張は100%正しくて、ロシアの主張は100%嘘だ」という訳ではないということが周知になりつつあるからです。
もちろん、「ウクライナは侵略されているのであり、ロシアのほうが絶対的な悪である」という論調には根強いものがあります。
ただ、NATO各国は、ゼレンスキー氏が最も必要だとする西側の主力級戦車の供給を決めましたが、ゼレンスキー氏は、今度は西側製の戦闘機や長距離ミサイルの提供を立て続けに要求したことから、支援する側に違和感が漂ったのは事実ではないでしょうか。
戦闘を少しでも優位に進めたいというウクライナ側の思惑は理解できないわけではありませんが、ゼレンスキー氏がこの戦闘にNATOを巻き込みたいのではないかと勘ぐってしまいます。
ですから、「ウクライナを守ることこそ民主主義を守ることであり、ウクライナへの侵略を許せば、次はヨーロッパが侵略される」というゼレンスキー氏の言葉も、「本当にそうなのか」という思いが湧いてくるのも理解できます。
なぜなら、ウクライナを西側に近い民主主義国家と見る人もいますが、あるNGOが発表した最新の汚職指数では、ウクライナは116位と、137位のロシアとたいして変わりがないからです。
また、ウクライナ東部はロシア系住民の割合が高いのですが、ロシアに支援された親露派のウクライナ国民を、今回の侵攻以前からウクライナ軍が攻撃していたのは事実です。
更に、ウクライナとロシアは、冷戦時代は一つの国家であり、国境も政治的に線引きされるなど、歴史的な経緯は複雑です。
その上、対ロシアの軍事同盟であるNATOに、ウクライナが加盟すれば、ロシアが反発することは初めから分かっていたことです。
このように冷静に事態を見つめたならば、今は、ウクライナへの逐次軍事支援ではなく、戦闘の早期終結の道を探るべきということが分かるのではないでしょうか。