ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に訪米し、連邦議会で演説したのは記憶に新しいところです。
日本での報道では、演説が民主共和両党から好意的に受け入れられたと、押しなべて伝えられていました。
この報道だけを見ると、「米国はウクライナ支援で一致しているのだな」と思ってしまう人が多いと思います。
しかし、実際には同氏の演説は、共和党の下院議員の約6割が欠席していました。
これは、多くの共和党議員が無制限のウクライナ支援に慎重であることを示すものですが、日本ではほとんど伝えられていません。
米国の財政規律の問題、ウクライナでの武器の横流しの問題、戦闘の長期化の懸念など、様々な理由があるようですが、どれも一理あることは事実です。
にもかかわらずバイデン大統領は、巨額の支援を続ける意向です。
ただ、支援を強化・継続する姿勢を示していると言っても、戦況を決定的に左右するような支援にはなぜか慎重なままです。
ロシアを過度に刺激することを避けているとされますが、あたかも戦闘が長引くことを意図しているかのようにも見えます。
ロシアをじわじわと疲弊させたい思惑や、戦闘を支援することで米経済を回復させたい思惑も感じられます。
このように、現在のウクライナへの支援体制が、必ずしも正義ではないという側面が少なからずあるのです。
確かに、「何も非の無いウクライナが一方的に侵略されている」と見れば、ウクライナ支援に感情的になるのも理解できる面もあります。
しかし、ウクライナを取り巻く情勢はそう単純ではありません。
今の日本の報道では、それが見えにくくなっているということを知るべきではないでしょうか。
加えて、現在の日本政府の姿勢は、戦闘の早期終結にほとんど寄与していないことが残念でなりません。