ある大手マスコミは、政府が民間の先端技術を安全保障分野へ転用するための研究機関を創設するという記事の中で、「軍民分離」が懸念されると伝えています(※)。
一般に、軍民分離とは、戦闘の際などに民間への被害を防止する目的で軍と民間との区別を明確にすることを指します。
しかし、記事では、学術界が軍事研究に協力しないという考え方を軍民分離と呼んでいるようです。
日本の学術界には先の大戦で戦争に協力したことを教訓に軍事研究をタブー視する風潮が根強くあるのは事実です。
ただ、世界には軍事力で他国を屈服させようとする国が存在するのが現実ですから、外交の延長として軍事的な抑止力を持つことは悪では無く、主権国家として当然です。
特に、現代では科学技術を軍事と民間に完全に分離することは不可能である上に、戦況を左右するような新技術が民間発祥である場合が多々あります。
ですから、学術界が軍事研究に協力しないという“軍民分離”を、あたかも犯してはならない原則のように扱おうとしているのであれば問題です。
日本の科学技術は世界をリードするものが数多くありますから、日本の学術界が自国の防衛に協力しないのであれば、それを喜ぶのは悪意を持って日本を侵略しようとしている国に他なりません。
もちろん、軍事研究をしたくないという研究者の考えは尊重すべきですが、国民のために安全保障分野で貢献したいという研究者の考えも大いに尊重すべきではないでしょうか。
※:https://www.47news.jp/8530639.html