来年度の防衛費は、増額されることが既定路線です。
岸田首相は、5年以内に防衛費を倍増させることを表明しており、財源など政府や与党で議論が続いています。
ただ、中国の軍備増強のスピードや、台湾進攻の野心を踏まえれば、5年で倍増というのは、悠長と言わざるを得ません。
しかし、立民党などは、社会保障の充実が優先とし、防衛費の増額に難色を示す声も少なくありません。
特に、1機当たり100億円を超えるステルス戦闘機や、1隻当たり1,000億円を超えるイージス護衛艦など高額の正面装備の調達は、毎年批判の対象となります。
ここで、防衛費の内訳を見てみたいと思います。
例えば、昨年度の防衛予算は5兆1千億円余りですが、そのうち防衛装備品の購入費は約18%です。
最も多いのは人件費で約43%、維持費が約23%と続きます。
ちなみに防衛関連の研究費は2%にすぎません。
このように、防衛費増額の象徴とされる高額の正面装備を含む防衛装備品の購入費は、全体の2割に満たず意外に少ないことが分かります。
これに対し中国の軍事費は、公表されているだけで日本の4倍であり、実際の数字は更に大きいと見られています。
しかも、一人当たりの人件費は日本よりも少ないことは確実ですから、装備品の調達費は日本よりはるかに多いと見られます。
ですから、日本は国防にとって必要な装備品は遅滞なく調達していくべきと考えます。
最近では、円安により、外国からの調達コストは、大きく上昇する可能性がありますから、防衛関連の研究費も増額し、国産化率を上げていくことも考慮しなければなりません。
政府には、財源確保を含め、緊迫した我が国周辺の情勢に見合った防衛政策を進めてほしいと考えます。