ウクライナでは、ウクライナ軍による反撃が強まっているとされ、欧米もウクライナへの軍事的な支援を続ける姿勢を崩していません。
これに対し、ロシアは30万人規模の予備役(過去に軍務経験があるなど、現在は軍務以外に就いて、有事の際に緊急に招集される兵士)の動員を発表しました。
この発表は、ウクライナでの苦戦を受けてのことと見られています。
ロシアの足元では、旧ソ連を構成していた国同士の争いが顕在化してきており、アルメニアとアゼルバイジャンの戦闘再燃、タジキスタンとキルギスの戦闘など、ロシアによる軍事的な重石が効かなくなりつつあります。
従って、予備役の動員は、この方面への戦力増強をも睨んでのことかもしれません。
ただ、ロシアの予備役の投入で、戦況が変化する可能性は不透明です。
仮に、ウクライナでロシア軍が劣勢に立たされ、更には、旧ソ連の国同士の戦闘がロシアの意に反する形で動くとなれば、負けが許されないロシアは、戦況の打開と、周辺国への警告のために最後の手段に打って出る可能性が出てきます。
その可能性とは核兵器の使用です。
ロシアは、ウクライナでの親露派支配地域で、ロシアへの編入を問う住民投票を実施すると伝えられています。
この住民投票でロシアへの編入が決まれば、ウクライナ軍による同地域への攻撃が、ロシア本国への直接攻撃と見なされることになります。
そうなれば、ロシアがかねてから示唆していた通り、核兵器による反撃の理由とするかもしれません。
既に、ロシアはウクライナが核保有を主張したとし、核保有の阻止も特別軍事作戦の理由の一つとしています。
ウクライナの状況は、悪化の一途をたどっているように見えます。
欧米、特に米国は、ロシアに核兵器を使わせないようにするどころか、逆に使わざるを得ないように追い込んでいるようにさえ見えてしまいます。
最悪の事態を招かないように、とにもかくにも戦闘を終わらせることを優先しなければならないのではないでしょうか。