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2022/09/17【ロシアを追い込むことで危惧される地政学リスクとは】

ウクライナ問題が長期化し、ロシアが軍事的なリソースの多くをウクライナに割かざるを得ない中、ロシアの軍事的なプレゼンスが低下していると見る国や勢力が増えています
 

中でも、一昨年ようやく停戦したアルメニアとアゼルバイジャンは、再び戦火を交えました(※)。

アルメニアの後ろ盾のロシアが動けないと見たアゼルバイジャンは、自身に有利な内容で停戦交渉に持ち込みたい思惑があると見られています。

一方、アルメニアとアゼルバイジャンの両国と国境を接するイランは、アゼルバイジャンが過度に優位になることを恐れ、国境地帯で戦力を増強しているとの情報があります。

イランがどちらかの国に肩入れする明確な証拠はありませんが、仮にロシアに代わってアルメニアを支援するようなことになれば、今度はアゼルバイジャンの後ろ盾であるトルコが黙っていない可能性があります。
 

また、伝統的にロシアとの関係が深いカザフスタンは、ロシアと一定の距離を取る外交姿勢が顕著になっています。

更には、ロシアに煮え湯を飲まされてきたチェチェン共和国内の独立派の動きにも注目が集まっています。
 

このようにロシアが担ってきた地域のバランサーとしての役割が、ロシアが窮地に追い込まれることで果たせなくなる可能性があります。
 

狭い了見では、ロシアの自業自得と片付ける見方もありますが、大局的に見ると、新たに中東に端を発する第三次世界大戦の可能性すら生じています。

そう考えると、ウクライナ問題を長引かせている欧米の姿勢も問われるのではないでしょうか。

欧米のリーダー達に、どこまで影響が及ぶのか中長期的で正確な見通しがあったのか疑問です。
 

ですから、ロシアにも一定の言い分がある以上、少なくとも日本は、中立的な立場に立って、一刻も早くロシアとウクライナの停戦を仲介する努力をすべきではないでしょうか。

※:https://www.sankei.com/article/20220913-BWUSBFEGPJJPNF36NAAHXI53CM/