インドネシアで開催されたG20エネルギー相会合で、欧米は「ロシアがエネルギーを武器として使用している」として批判しました。
これは、ロシアがドイツなどへの天然ガスの供給を絞っていることを念頭に置いたもので、エネルギー確保に対する切迫感が表れていると言えます。
確かに、ロシアはウクライナでの軍事衝突以降、不合理とも言える理由でドイツへの天然ガスの供給を絞ったり遮断したりしており、欧米の懸念は理解できる部分があります。
一方で、ロシアはウクライナと事実上の戦争状態にあり、ドイツはウクライナを支援しています。
ロシアにとってみれば、敵を支援する国を利する行為は、当たり前ですができません。
また、ドイツを含む欧米や日本は、ロシアに対して経済制裁を実施しているという事実もあります。
これも、ロシアにとってみれば、同じように「欧米が経済を武器として使用している」と感じてもおかしくない行為です。
ですから、欧米はウクライナを支援しロシアに制裁を加えておきながら、「エネルギー供給は今まで通りにしろ」と言うのは、虫が良すぎるという気がしない訳ではありません。
もちろん、ロシアによる軍事侵攻が絶対的に悪いという考えもありますが、ロシアと対立する以上、エネルギー供給に影響が及ぶことを覚悟する必要があったはずです。
仮に、その覚悟が無かったのであれば、見通しが甘いと言われても仕方がないのではないでしょうか。
その意味で、ロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の権益を維持することを決めた日本は、対応にちぐはぐさが残るものの、間違っていないように思えます。
日本政府にはこれを契機に、中立的な立場でロシアとウクライナの一刻も早い和平の仲介を望みたいと思います。