台湾と中国の間の軍事的な緊張が高まっています。
同時に、台湾を支援する米国と中国との間の緊張も高まり、日本も無関係ではいられない状況となっています。
これに対し、日本を始め国際社会は一つの中国を認めている訳だから、問題解決は中台間に委ねるべきだとの考えもあります。
しかし、この考えは極めて理不尽で危険です。
以下にその理由を挙げます。
1つ目は、中国共産党政府が一党独裁体制の事実上の全体主義国家であるのに対し、台湾は自由・民主・信仰の価値観を有する事実上の独立国家であるからです。
台湾は、歴史上、中国共産党に支配されたことは無く、現在も中国の施政が及んでいません。
仮に、中国が台湾を統一するようなことになれば、香港の例を見るまでもなく、一つの民主主義国家が消滅することと同じなのです。
2つ目は、先の大戦に関連します。
先の大戦で日本は、台湾の宗主国であり、台湾人も日本人として戦地に赴いた経緯があります。
戦後も、当初、国連に加盟していたのは台湾の方であり、大国の思惑の中で、台湾の同意を得ないまま中国共産党政府を中国の代表に替えた経緯があるのです。
そして、戦後の日本は、理不尽にも台湾と断交して中国と国交を結んだのです。
こうした行為は、武士道精神に反するものです。
ですから、この反省に立てば、日本は二度と台湾を見捨てるようなことをしてはならないのです。
3つ目は、安全保障上の観点です。
台湾の東方海上は、日本経済の生命線を支えるシーレーンです。
軍事力を背景に海上覇権の拡大を目論む中国が、台湾を押えるようなことになれれば、シーレーンの制海権を握られてしまいます。
海は広いので、時間とコストは増えるかもしれないが、台湾東方海上を避けて船舶が航行すればいいとの考えもありますが、中国大陸の出入り口を抑える台湾という存在が無くなれば、中国軍はより自由に太平洋に出入りすることが可能となり、その活動範囲はどこまでも広がる懸念があるのです。
そしてその先にあるのが沖縄をはじめとした日本列島なのです。
この他にも理由はあると思いますが、大きな理由は以上ではないでしょうか。
このように台湾が中国に飲み込まれるのは正義に反するということを忘れてはなりません。