5月15日は沖縄が日本に復帰して50年となる節目の日でした。
この日を迎えるにあたって、左翼系のマスコミを中心に沖縄県内の米軍基地の問題を取り上げ、「在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中」といった見出しが躍ります。
これらの報道を真に受ければ、「日本の国土の1%に満たない沖縄県に在日米軍基地の7割が沖縄にあるのか」と思うと、こうした現状を何とかしなければならないと感じても無理ありません。
しかし、私たちが、沖縄県以外の大きな在日米軍基地として思い浮かぶものとして、三沢基地、横田基地、厚木基地、岩国基地があります。
このうち横田基地以外は「在日米軍専用施設」に含まれていません。
なぜならば、これらの基地は自衛隊との共用施設だからです。
共用施設を含めれば、沖縄県の米軍施設の集中率は3割程度との試算もあります。
多くの沖縄県民の方々が問題としているのは、県内の米軍基地の存在であり、それが専用施設か共用施設かということではないはずです。
であるならば、マスコミは、なぜ「専用施設」のみの割合だけを強調するのでしょうか。
しかも、実際の面積換算では、沖縄県内の米軍専用施設は返還時に比べ3分の2に減少しています。
「専用施設」には、過剰な基地負担のイメージ作りが透けて見えます。
例え基地の集中度が7割から3割に減ったとしても、沖縄県の基地負担は大きいことに変わりはないので必要な対応策は講じるべきです。
しかし、近隣諸国の情勢や地政学的な見地を踏まえれば、沖縄県のみならず日本全体、あるいはアジアの平和のためには、在沖縄米軍の存在は不可欠であるという事実に変わりありません。
そうした事実にほとんど触れずに、過剰な基地負担のイメージを強調することは、民意を誤った方向に誘導する危険性があるのではないでしょうか。