自民党は、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた3つの分野の重点投資についての骨子案をまとめました。
その3つの分野とは、量子技術やAIなどのデジタルの分野、カーボンニュートラルなどのグリーンの分野、新たな奨学金制度の導入をはじめとする人への投資とのことです(※)。
日本の国力増進に資するのであれば、是非注力して頂きたいと言いたいところですが、それぞれの分野で気になる点があります。
1つ目のデジタル分野ですが、日本が世界をリードする技術力を身につけることはいいことであるものの、そのデジタル技術をどう使うかが重要です。
本来は、個人の自由を伸ばす方向で発揮されるべきですが、政府はマイナンバーカードに代表されるように、個人を管理することを強めるために利用する傾向があるのが懸念材料です。
2つ目のグリーン分野ですが、新エネルギーの開発や省エネは目指すべきであるものの、脱炭素については、その裏付けとして仮説に基づく点があるため、過度な脱炭素政策は合理性に欠け、日本の産業競争力を逆に弱める可能性があります。
3つ目の人への投資ですが、過去の民主党政権が掲げて頓挫した「コンクリートから人へ」という政策を連想してしまいます。
それぞれの分野の詳細はこれから詰めるのでしょうが、自民党は前提として「市場や競争に任せればすべてうまくいくという、これまでの資本主義の考え方を見直す必要がある」と指摘しているので、「新しい資本主義」というものが、単に「社会主義的な資本主義」あるいは「全体主義的な資本主義」にならないのか、注意深く見守る必要があります。
※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220512/k10013622151000.html