6月に開かれるNATOの首脳会談に日本も参加するとの報道があります(※)。
NATOは事実上の対ロシア軍事同盟ですから、その首脳会談に日本が参加するということは、日露の対立関係が決定的になる恐れがあります。
これほどまでに日本政府がロシアに対し強硬に出る理由は、ウクライナに対する力による現状変更を容認すれば、その影響が東アジアに及ぶとの考えからです。
具体的には、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が成功すれば、中国が台湾ひいては尖閣諸島など日本に対しても軍事力を用いた現状変更に自信を深めることを懸念しているからです。
しかし、仮にロシアによるウクライナへの軍事作戦が失敗したとしても、それを見て中国が台湾統一のための軍事的な選択肢を捨て去ると考えることは、楽観的すぎるのではないでしょうか。
それは、習近平主席や中国共産党のこれまでの政治姿勢を見れば明らかです。
中国が、「西側諸国による経済制裁がこれほど厳しいのか。これでは軍事行動はとれない」などと考えるのは期待薄です。
むしろ、中国は、今回のウクライナでの戦闘状況や西側諸国による経済制裁や軍事支援を教訓にして、台湾進攻などの戦略を練り直していると考えるほうが自然です。
そもそも、日本がNATO諸国とどんなに歩調を合わせても、日本の有事の際に、同盟国である米国以外の国が、遠く離れた日本に対し実効性のある支援をしてくれる保証はどこにもありません。
それどころか、中露の結び付きを一層強めてしまい、中国による台湾や日本への軍事行動をロシアが支援することも最悪のシナリオとして考えられます。
その場合、当然、北朝鮮も連動することを想定しなければなりません。
ですから、対中国を考えた場合、ロシアとの関係を良好に保つことが、日本にとって如何に重要であるかが分かります。
従って、6月のNATO首脳会談に日本が協力者として参加することは慎重であるべきと考えます。
※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220427/k10013601251000.html