ウクライナ東部の要衝マウリポリの現在の様子について、衛星写真を用いて分析した結果、住宅街を含め市内全域が無差別に破壊されていることが分かったと報道されています(※)。
報道では、国際法で禁止された無差別攻撃が故意に行われた可能性が高いとし、改めてロシア軍の残虐性を印象付けています。
マウリポリでは、今回の分析結果を待たずとも、既に多くの民間人に犠牲が出ており、一刻も早い停戦を実現する必要があります。
一方、今回の戦闘では、ロシア軍を迎え撃つウクライナ側は、軍事関連施設や人口過疎地帯だけではなく、市街地に潜んで抵抗を続けています。
ですから、民間施設から攻撃を行えば、民間施設が攻撃を受けるのも当然と考える必要があります。
もちろん、ロシア側が住民に恐怖心を抱かせ厭戦気分を高める目的で無差別攻撃を行っていることも考えられますが、戦場では敵が潜んでいる可能性がある場所は全て攻撃対象になり得ます。
こうしたことの極端な例に1960年代のベトナム戦争があります。
当時、森林に潜んで攻撃を繰り返すゲリラなどに手を焼いた米国は、広大な面積の森林そのものを消滅させる必要があると考え、大量の枯葉剤を散布しました。
砲弾を使用したり、人間を直接殺傷したりした訳ではありませんが、森林をある意味で無差別に破壊しました。
その後、枯葉剤による住民の健康被害は世界の知るところとなり、米国は戦争犯罪の避難を受けましたが、現在もその責任を認めていません。
今回の報道では、ロシア側が一方的に戦争犯罪を行っている印象がありますが、攻守のそれぞれの立場でそれぞれの言い分があるようです。
いずれにしても、戦争という不条理を前に苦しみを強いられるのは、いつも立場の弱い人々であることを忘れてはなりません。
※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220412/k10013578501000.html