先月、東京電力と東北電力管内で電力供給に余裕が無くなり、「電力需給ひっ迫警報」が発出されたのは記憶に新しいところです。
地震による火力発電所の予期せぬ停止、そこに寒気の到来と、いくつもの要因が重なったにせよ、「原発が稼働していれば」と言う声があったのも事実です。
一方で、原発の再稼働ができないことは、別の面でも影響が出ています。
現在、日本の電力は8割以上を火力発電に依存していますが、その化石燃料のほぼ100%を海外からの輸入に頼っています。
化石燃料の価格は、上昇基調にあったものがウクライナ情勢により一段と高まりました。
そこに、約6年ぶりの大幅な円安が加わり、日本のエネルギー調達コストはますます高くなっています(ちなみに、原油の決済はドル建てが基本です)。
この円安は、日米の政策金利の差によるところが大きいのですが、海外からエネルギーを調達するために日本が円を売ってドルを買うことで円安に拍車をかけているのです。
つまり、円安により原油調達コストが一層上がり、その支払いのために更に円を売ってドルを買うという悪循環にあるとも言えます。
従って、仮に原発の再稼働が進んでいれば、電力価格の上昇を抑える効果とともに、円安の進行にここまで拍車をかけることもなかった可能性があります。
もはや、我が国は円安による貿易で経済を拡大するという途上国型のビジネスモデルは通用しにくくなっています。
ですから、安全を確認した上での再稼働は大前提ですが、やはり資源小国の我が国にとって、原発は欠くことのできないエネルギー源であることが分かります。