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2022/03/31【自制しているのは欧米か、ロシアか】

 ウクライナ情勢についての報道番組で、あるコメンテーターが、米国などは世界大戦にならないギリギリの範囲内でウクライナを戦わせている旨の発言をしていました。
 

 確かに欧米は、ウクライナへの武器供与を歩兵が携行する比較的小型の武器に留め、戦闘機や中長距離地対空ミサイルと言った大型の兵器の供与を行ってないので、ロシアに戦線を拡大する口実を与えない戦略を取っているようにも見えます。
 

 ただ、いくら小型の武器とは言え、継戦能力を維持する目的で武器を供与している事実に変わりありません。

 また、欧米は偵察衛星などで得られた情報をウクライナ側に提供していることは間違いありません。

 更に、欧米の特殊部隊の隊員が身分を隠してウクライナに潜入して現在も支援している可能性が高いとされます。
 

 こうしたことを踏まえると、自制しているのはむしろロシア側と見ることもできます。

 もちろん、ロシア側に戦線を拡大する余裕が無いとの見方もありますが、他にもロシアが自制しているかのような動きがあります。
 

 例えば、地上軍の侵攻が始まる前にロシア軍が発射したとされる対地攻撃用のミサイルの数は、20年前のイラク戦争時の数分の1であり、その後も多くはありません。

 また、ロシア軍は民間人の犠牲を顧みずに無差別に攻撃しているとされますが、イラク戦争やアフガニスタン戦争で犠牲となった民間人の数の多さと比べると、その違いは歴然としています。

 更に、キエフの大統領府や大聖堂と修道院群への攻撃は行っていません。
 

 このようにロシア側にも一定の自制が働いている様子が見て取れます。
 

 戦火の中にあるウクライナの人々の窮状を思うと、一刻も早く戦闘が終結することを願うばかりですが、ロシア側による戦闘のエスカレートは避けるべきですし、欧米の側にもロシアを挑発する動きは慎むべきと考えます。