3月
22

2022/03/22【他の人権侵害にも最大限の非難を】

 米国のバイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領を「生粋の悪党である」と非難しました(※)。

 一国の元首が他国の元首を、ここまで汚い言葉で非難するのは極めて異例です。
 

 国連人権高等弁務官事務所によると、ウクライナでは17日時点で、民間人816人が死亡し、このうち子供が59人含まれるとしています。

 しかし、戦闘が激しい地域では、犠牲者の確認が困難であり、実際の数はこれを上回るのが確実です。
 

 この数字をだけを見れば、バイデン氏の発言は理解できる面があるかもしれません。
 

 一方で、例えばイラク戦争やその後のアフガニスタンでの戦闘で死亡した民間人の数は、少なく見積もっても10万人以上とされます。

 イラク戦争では、イラクが大量破壊兵器を保有しているとして、米国などが侵攻し、当時のフセイン政権を滅ぼしました。

 しかし、実際には大量破壊兵器は存在せず、その後のイラク再建もうまく進まなかったにもかかわらず、侵攻した側は誰も責任を取っていません。

 また、例えば中国のウイグル自治区では、強制収容所への収容や強制労働、人体実験や長年の核実験などで、数百万人にも及ぶウイグル人が過酷な人権侵害を受けているにもかかわらず、国際社会は事実上、手をこまねいてる状況が続いています。

 この2つの出来事を踏まえてバイデン大統領の言葉を借りるならば、ブッシュJr大統領などは多数の民間人の犠牲を生じさせたという点で悪党ということになってもおかしくありませんし、中国の習近平主席をも同様の言葉でもっと非難しなければならないのではないでしょうか。

 ウクライナの場合、インターネットやスマホが普及し、惨状が臨場感をもって伝えられるので、一般の人がウクライナに同情しロシアを憎むことは理解できる側面はあります。

 しかし、ウクライナと同等かそれ以上の人権弾圧に対しても、厳しい避難の声があってもいいのではないでしょうか。

 ※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220318/k10013538841000.html