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2022/03/10【戦時下のネットメディアについて】

 ウクライナでは激しい戦闘が続いている模様です。

 
 ネットメディアを中心に、連日新たな映像がアップされています。
 

 中でも多いのは、戦火に苦しむウクライナ市民と瓦礫と化した街並みの様子です。

 これを見ていると、ウクライナ市民への哀れみや同情が湧いてくる一方で、ロシア軍の残虐さやそれに対する怒りが湧いてくる人も多いと思います。
 

 また、同様に破壊されたり鹵獲(ろかく)されたりしたロシアの兵器の映像も数多くアップされています。

 これだけを見ていると、ロシア軍は弱く一方的にやられているようにも見えます。

 確かに、ロシア軍にも多くの損害が出ているのは事実でしょう。
 

 しかし、実際は、ロシア軍は確実に進軍し包囲網を狭めています。
 

 メディアを通じたイメージと実際の戦況とで齟齬(そご)が生じている理由は、ウクライナ側は情報発信を強化しているのに対し、ロシア側は極力情報の流出を制限しているからだと考えられます。
 

 
 これはある意味で当然かもしれません。

 ウクライナ側は侵攻されている側であり、世界に対し支援を求めるために必要な情報や、自軍の士気を高め敵の士気を挫く情報を発信します。

 
 一方で、侵攻する側のロシアは、批判を避けるために自軍だけでなく相手側の損害に関する生々しい情報は隠匿(いんとく)したい思惑があります。
 

 ですから、戦況に関する情報は、どうしてもウクライナ寄りになるということを認識しておくべきかもしれません。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、現実の戦争であり、虚々実々の駆け引きが行われています。

 双方が発信する情報には、受け取る側が取捨選択する必要があります。

 さもなければ、正しい戦況を把握できないばかりか、プロパガンダに踊らされることになりかねません。