岸田首相は、ウクライナ情勢について「力による現状変更を許すことになると、アジアにも影響が及ぶ」との考えを明らかにしました(※1)。
これは、仮にロシアが武力による現状変更に成功すれば、中国による台湾や尖閣諸島に対する武力行使を助長しかねないとの認識を示したものと思われます。
ただ、ロシアによる力を背景とした現状変更を防げたとしても、中国が力による台湾統一や、尖閣諸島への武力侵攻を本当に諦めるのか疑問です。
軍備の増強、経済規模、国内状況、外交工作などを踏まえれば、ウクライナ情勢の如何にかかわらず、中国共産党の覇権的な野心に変わりはないと見るべきではないでしょうか。
むしろ、日本はロシアを敵に回してしまうことをこそ危惧すべきと考えます。
ロシアが完全に敵に回れば、中国による軍事作戦にロシアが呼応する可能性が高まることになりまるからです。
今の日本にこの2国に同時に対処することは極めて困難です。
その意味で、日本政府によるこのタイミングでのロシアとの経済協議は重要です。
自民党内からはG7の結束を乱そうとするロシア側の意図を指摘する向きもある(※2)ようですが、日本がロシアに対し独自外交を展開する意義を見落としてはなりません。
この「中国とロシアの接近を阻止する」という視点で、日本政府は外交を展開すべきと考えます。
※1:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220217/k10013488761000.html
※2:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220217/k10013488591000.html