ウクライナとの国境付近にロシア軍が集結しているとされる問題で、欧米はウクライナ支援を鮮明にしています。
ウクライナも欧米に対し支援を要請しており、米英などはこれに応える形で対空ミサイルや対戦車ミサイルの供与を決定しています。
一方、同じNATO加盟国の中でドイツは、過去に第三国に輸出した野砲について、ウクライナが転売を求めたにもかかわらず、再輸出に必要な許可を出さなかったとのことです。
そして、ドイツがウクライナに行った支援は、ヘルメットの供与だったので、ウクライナからは失望の声が上がっています(※)。
一見、ドイツの行動は、ロシア寄りの立場を示し、事態をエスカレートさせないための戦略のように見えます。
最終的にロシアを西側に引き込むことができれば、それは最善の策です。
しかし、実態はロシアからの天然ガスが国のエネルギー政策の重要部分を占めるドイツが、天然ガスの供給停止や、価格上昇を恐れて、下手に出ているとされます。
ドイツでは、早々に脱原発を決定し、再生可能エネルギーへの移行を進めていますが、不足分はロシアからの天然ガスの輸入やフランスからの電力の輸入などに頼っています。
今回の事例は、エネルギーの外国依存が、国の政策決定の自主性に大きな影響を及ぼすことを物語っています。
日本も、原発の再稼働が進まない状態が続いていますが、再生可能エネルギーによる発電量が2割程度の中で、シーレーンに近い台湾で有事が発生すれば、化石燃料の輸入が滞りエネルギー危機に陥る可能性があります。
そうなれば、日本の政策決定に大きな影響が出るのは明らかです。
資源の少ない我が国は、自主性を維持するためにも、エネルギー自給率の向上は喫緊の課題です。
ですから、エネルギー安全保障の観点からも、我が国は今後も原発を維持すべきであると考えます。
※:https://www.jiji.com/jc/article?k=2022012700215&g=int