9日付の日経新聞に「日本の防衛産業、土俵際」という記事がありました。
国内企業にとって防衛装備品は利益が出にくいので、撤退が相次いでいるというのです。
例えば、陸上自衛隊が装備している「軽装甲機動車」の後継問題があります。
軽装甲機動車とは、ジープのような車体に比較的簡易な装甲を施した車両のことであり、国内の企業が製造して、陸上自衛隊で2千量両近くが調達されたポピュラーな存在です。
その軽装甲機動車は、調達開始から20年以上が経過し旧式化が否めず、また、新たな使用環境も想定されるため、その後継車種の検討がなされています。
しかし、国内の企業は、自衛隊が求める仕様を満たせない、あるいは開発リソースが不足しているなどとの理由で後継車両の開発から撤退したことから、防衛省では外国からの調達を軸に検討しているとのことです。
世界最強の戦車の一つと言われる最新鋭の「10式戦車」など、世界屈指の技術力を有している日本の防衛産業であれば、軽装甲機動車の後継車両の開発など造作もないと思われますが、実際はそうではなさそうです。
従来、日本の防衛産業は、自衛隊への納入に限られていたので、一定の契約は確約できるものの、もともと大幅な利益が見込める分野とは言えませんでした。
しかし、国防への貢献という崇高な使命感が、国内の防衛産業を支えていた側面があったのです。
今回の記事では、企業として生き残りをかけて選択と集中を行っていると理解できますが、国内の防衛産業の衰退は、日本経済にマイナスであるだけでなく、安全保障にも直結する問題です。
官民一丸となって輸出に活路を見出すなど、防衛産業の保護育成に努める必要があるのではないでしょうか。