ウクライナとの国境地帯に大規模なロシア軍の部隊が集結し、軍事的な緊張が高まっています。
米国をはじめとしたNATOとロシアとの間でも、互いに牽制を繰り返しています。
こうした状況に、7日には米露間の首脳会談がオンラインで開催されましたが、緊張緩和に繋がるかどうかは不透明です。
この問題は、ロシアがウクライナ領であったクリミア半島に進駐したことがそもそもの発端です。
西側諸国にしてみれば、国境線を武力により変更したことが国際秩序の観点から許せない訳です。
これに対しクリミア半島は、ロシア系住民が多いことからも分かるように、かつてはロシア領であったものを、ソ連邦内の事情でウクライナ領に組み入れられたものです。
従って、ロシアにしてみれば、いわば失地回復を行ったに過ぎないとも言えます。
一方で中国は、台湾統一を失地回復運動のように喧伝することがあります。
中国共産党政府の言う「一つの中国」のもと、台湾はもともと中国のものだと言うのです。
しかし、中国共産党政府が台湾を統治した事実は、歴史上一度たりともありません。
つまり、台湾統一が失地回復というのは明らかな嘘です。
従って、クリミアの事情と台湾の事情は全く異なることが分かります。
ですから、西側諸国は、頑なにロシアを非難するのではなく、ロシア側の事情も酌むべきと考えます。
この点では、NATO内にあってロシアを刺激しない政策をとるドイツが参考になるかもしれません(※)。
今は、ロシアを敵視するのではなく、ロシアを味方につける戦略こそ大切です。
他方、台湾に関しては、中国側の主張を受け入れるべきではありません。
特に、バイデン大統領には、中露の双方を敵に回し、かつての冷戦状態に引き戻すような愚は犯さないよう願いたいと思います。
※:https://www.ft.com/content/1336c9be-f1c9-4545-9f85-3b07fcb746d6