今回の衆院選では、どの政党も「富の再分配」を主張していました。
その程度には強弱があるにせよ、富める者から取り上げて、貧しい者へ分け与えるという政策です。
この政策が実現すると、貧しい者がいなくなるかもしれませんが、真に富める者もいなくなってしまいます。
つまり、社会主義や共産主義の理想が実現するということです。
一方、資本主義というのは、個々の小さな資本では実現できないような大きな生産性の向上を資本の集中により実現し、より大きな富を創出する仕組みです。
また、富というのは、その人の努力の結果でもある訳なので、「平等」だけでなく「公平」という価値観に基づく正当な評価という側面もあります。
ですから、貧しさの解消という考え方はいいとして、富める者を無くすような「富の再分配」という考え方には注意が必要です。
行き過ぎた富の再分配は停滞を招き、結局は全ての人に「貧しさの平等」をもたらすのです。
更に、こうした統制された社会は、「全体主義」の色が強まり、「自由」の価値観からも遠ざかります。
その意味では、今回の選挙で議席を争う政党の中に、「資本主義」、「民主主義」、「自由主義」といった価値観を真に希求している団体があったのか、少なからず疑問を感じます。