米国から詐欺などの罪で起訴されていた中国のIT大手ファーウェイの幹部が、カナダを出国し中国に帰国しました。
同時に、中国で事実上の報復として拘束されていたカナダ人が解放されカナダに帰国しました。
このファーウェイの幹部は、トランプ政権下で起訴されカナダで逮捕されたものの、米国への身柄引き渡しの審理の最中にありました。
米国と対立する中国は、第三国であるカナダ人を拘束し死刑を臭わせることで、カナダからも米国に圧力を掛けさせるという狡猾な戦略を取ったわけです。
今回、表向きは同幹部が米国との司法取引に応じて帰国が可能になった形ですが、バイデン政権は、中国への強硬姿勢とは裏腹に、トランプ政権とは対照的に中国に屈して妥協したものと見られます。
本件について、カナダを含め米中間でどのような交渉が行われたのか、詳細は明らかにされていませんが、現時点で確実に言えることが一つあります。
それは、中国は自国内にいる外国人を政治的な理由で平気で人質にするということです。
例えば、日本が日本国内で中国人スパイを摘発したとしても、中国は中国にいる日本人を無実の罪で拘束し、解放を要求することが容易に想像されます。
その場合、日本政府は善悪の判断をせずに早々に妥協することになるでしょう。
今回の事例から伺える教訓は何でしょうか。
それは、私たち日本人を含め外国人が中国に入国する際には、いつで恣意的に逮捕・拘束される事態も覚悟しなければならないということです。
しかし、果たしてそれが健全なビジネスを行う環境にある国と言えるのかどうかを考える必要があります。
やはり、目先の利益に囚われるのではなく、今の中国とはビジネスを縮小していくことが正しい道であり、有効な防衛策ではないでしょうか。