アフガニスタンの親米政権が、米軍撤退によるタリバンの攻勢で崩壊しました。
真相は定かではありませんが、政権幹部が大金を積んで航空機で国外脱出を図ったとされる一方、米国に協力したアフガニスタン人が、タリバンによる迫害を恐れて、米軍の輸送機に着の身着のまま、すし詰め状態で脱出する様子はたいへん印象的でした。
アフガニスタンからの米軍撤退はトランプ政権が決めたこととはいえ、前政権のアフガニスタン政策を批判して撤退を前倒ししたバイデン政権の責任は免れない状況です。
こうした中、今回の米軍撤退は日本にとって他人事とは言えない一面があります。
その一面とは、親米政権崩壊直後にバイデン大統領が「米軍はアフガニスタン軍が戦う意思がない戦争で戦うべきではない」と早期撤退を正当化したことです。
つまり、たとえ同盟国であっても「自ら戦う意思が無いのであれば米国は協力しない」という考えを明確にした点です。
我が国は、日米同盟を安全保障の基軸に据えています。
そうした中で、中国は我が国の尖閣諸島を自らの核心的利益と称して、武力による侵略も排さない姿勢を示しています。
仮に中国が尖閣諸島に武力侵攻した際、日本が「中国と戦ってでも領土を守る」という強い意思があるのかが問われているのではないでしょうか。
中国は、米国の同盟国に対して、今回のアフガニスタンでの一件を例に「米国は裏切る」と揺さぶりをかけてくることは確実です。
私たちは日米同盟を強固にするためにも「国家国民を守る強い意志があること」を示すとともに、万一に備えて自主防衛力を強化することを忘れてはならないと考えます。