政府は航空自衛隊の主力戦闘機「F-15」に米国が開発中の新型長距離対艦ミサイルを搭載する計画を見送る方向で調整していると20日に共同通信などが伝えています。
その理由は、米国が提示した費用が当初の800億円から2,400億円と高額になったためとのことです。
対中国の国防最前線である航空自衛隊那覇基地には、F-15が2個飛行隊配備されていますが、このF-15には艦艇を攻撃する能力が事実上ありません。
仮に、那覇基地のF-15に長射程の対艦ミサイルを搭載できたとしたら、中国海軍艦艇に対する抑止力は大きく高まると考えられます。
しかし、今回の報道が事実であれば、当面の間、南西諸島方面における航空機による対艦攻撃能力は、同じ那覇基地の海上自衛隊のプロペラエンジン哨戒機である「P-3」と、九州など遠く本土側の基地に所属する「F-2」戦闘機などに依存する状況が続くことになります。
こうした状況を招いた背景には、防衛費の制約や米国に依存する自衛隊の兵器体系とともに、対米交渉力が関係していると考えられます。
今回の件は、計画自体が見送りになれば、米側にとってもビジネスチャンスが無くなる訳ですし、バイデン政権が掲げる対中国での同盟国との連携にも支障をきたしかねません。
ですから、まさかバイデン政権が法外な費用をふっかけて日本側が断らざるを得ない状況を作り出すという、バイデン政権の対中配慮の一環ではないと思いますが、バイデン政権の真意を見極めて交渉をまとめ上げてほしかったという思いも残ります。
いずれにせよ、開発中の長射程化した国産超音速対艦ミサイルの導入を急ぐとともに、自主防衛力の向上を図っていく必要があると考えます。