英国の空母「クイーン・エリザベス」が日本に寄港する方向で調整しているとのことです(※)。
空母は、現代における最強の兵器の1つですが、保有している国は限られています。
米軍はその空母を11隻保有しており、実質的に軽空母としての運用が可能な強襲揚陸艦を含めると、約20隻を保有しています。
他方、英国はクイーン・エリザベスを含め2隻しか保有していません。
英国はいわば虎の子の空母を本国から遠く離れた日本周辺に派遣することになります。
この英国の並々ならぬ決意の背景には、中国の脅威があります。
中国は、急速に軍事力を高め、国際法を無視した振る舞いを繰り返して日本を含む近隣の国々を脅威にさらしているため、軍事的に牽制する意味合いがあります。
また、英国にとってもう一つ大きな理由があると考えられます。
それは、香港の問題です。
中国は、香港に対し50年間一国二制度を維持すると約束しましたが、昨年、一国二制度を事実上、撤廃しました。
英国としては、20年余りで約束を反故にされた形であり、空母を派遣することで強烈な不満を表しているとも言えます。
我が国としては、こうした英国の行動を後押しするとともに、協力関係を深めるべきと考えます。
日本国内には、中国との経済関係の悪化を懸念する向きもありますが、中国が現体制のもとで経済的に発展を続けることは、軍事的な脅威がますます高まることを意味します。
ですから、中国との経済関係は、どこかで一定の割り切りをする覚悟も必要ではないでしょうか。
その際、英国を中心にして、旧英連邦の国々と安全保障面だけでなく、経済的な関係を深めることは我が国にとって大きな意義があります。
旧英連邦の国々を中国包囲網に加えて、国際社会全体で、中国に対して「民主化しなければこれ以上の発展は無い」という姿勢を示すことが必要と考えます。
※:https://www.sankei.com/politics/news/210426/plt2104260014-n1.html