知人の製造業の経営者が、「受注が増えたので雇用を増やしたいが、なかなか人が集まらない」と話していました。
実際、大企業のデータではあるものの製造業の景気判断を示す指数は3期連続でプラスとなっています(※)。
コロナ禍で経済の低迷が続いていますが、影響をまともに受けている宿泊業や飲食サービス業とは裏腹に、一部の製造業や建設業では求人が増えています。
前出の経営者の話では、「普通なら低迷している業種から回復しつつある業種へ労働力が流れるのだが、今は必ずしもそうなっていない」とのことでした。
その理由の一つには、雇用調整助成金があるようです。
雇用調整助成金は、コロナウィルスの影響で事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために休業手当などの一部または全額を国が助成する制度です。
この制度のおかげで、本来は解雇せざるを得ない従業員の雇用を、休業などという形で維持することができます。
一方で、本来は解雇されて求職する必要がある人も、現在の職場に留まっているということにもなります。
実際に、雇用調整助成金で助かっている人は多いと思われますが、労働市場では流動性が失われて歪みになっているとも言えます。
コロナ禍では、雇用調整助成金のような制度は必要だと考えますが、だからと言って、いつまでも続けるわけにはいきません。
何よりも、際限なく続けるだけの原資は今の国には無いことも事実です。
バラマキ的な政策の実施や維持には限界や歪みがあることをよく考えなければなりません。
※:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210401/k10012949301000.html