新型コロナウィルスのワクチン接種をマイナンバーで管理すべきとの声が政府内から上がっています(※)。
政府はワクチン接種を全額国費で行う方針ですが、個人負担が無い以上、公的医療保険の保険証は使われないので、保険証の代わりにマイナンバーを使えば確実に管理できるとのことのようです。
確かに、日本の医療制度は国民皆保険として知られ、その保険証が使えないのであれば、全国民に付与されているマイナンバーを代わりに使うことは、もっともな話に聞こえます。
しかし、よく考えてみれば、全額国費だとしても保険証で管理しても構わないはずですし、保険証を発行する自治体をまたいだ転居の問題があったとしても、それは何も今回に限ったことではなく普段の診療でも同じ事態は起きています。
マイナンバーは、国家による国民の監視・管理の強化に繋がるとして未だに警戒感がありますし、情報漏洩の懸念も払拭できていません。
そうした中でのワクチン接種のマイナンバーによる管理の件は、ウィルスに対する国民の不安に付け込んで、マイナンバーカードの発行数を増やしたいという政府の思惑が見え隠れします。
よって、この種の議論には注意が必要です。
ただ、もともと今回のウィルスのワクチンの開発には数年かかると言われていたのですから、即席の感も否めない現在のワクチンが、変異のスピードが速いウィルスに対して、今後も十分な効果を安全に発揮し続けられるのか疑問が残ります。
ですから、ワクチンの接種に関しては、「自分は接種しない」という判断があったとしても不思議ではなく、そうした判断も尊重すべきと考えます。
※:https://www.asahi.com/articles/ASP1M5VT1P1MULFA01B.html?iref=comtop_7_02