某大手新聞の社説に「軍事に過度に傾斜せず、緊張緩和のための外交努力とあわせて地域の安定をめざす。身の丈にあった、持続可能な安全保障を構想しなければならない」とありました。
現在の日本の防衛力は過大であるとの認識のもと、外交により重きを移すべきであると、安全保障政策の転換を訴えているものと思われます。
しかし、世界で最も速いペースで軍備拡大を続ける中国に隣接し、実際に軍事的な圧力を受けている我が国の今の防衛力が、果たして「軍事に過度に傾斜している状態」なのでしょうか。
「戦争は外交の延長である」との常識からすれば、むしろ主権国家の防衛力としては、まだまだ不十分であることは明白です。
また、この社説は「もっと外交努力せよ」との立場ですが、外交はお互いにどこまで譲歩できるかのせめぎあいでもあります。
となると、軍事的な圧力を緩めてもらう代わりに、我が国に一体何を譲歩せよと言っているのでしょうか。
「日米同盟の解消」や「中国の人権問題に目をつむる」などを良しとするつもりなのでしょうか。
莫大な財政赤字を抱え、コロナ禍のバラマキ政策で財政状況が更に悪化する中では、今回の社説のような考え方は一見もっともに見えます。
しかし、そうした考えは、奴隷の平和と引き換えに「自由・民主・信仰」といった大切な価値観を売り渡すことになると認識する必要があります。