中国は、香港版「国家安全法」を、世界中の非難を押し切る形で施行しました。
これにより、香港の自由は完全に失われたと言っても過言ではなく、1国2制度を香港返還後50年間維持するという国際的な約束は、またしても破られました。
こうした中国の強硬姿勢の裏には、「中国が孤立することはない」との読みがあるものと思われます。
なぜならば、「世界は中国経済を無視することができないので、決定的な対立は避けられる」と見ていると考えられるからです。
ましてや、コロナ禍で世界経済が冷え込む中ではなおさらかもしれません。
実際、欧州諸国や日本は、今回の国家安全法の成立を受けて、中国政府の顔色を伺いながらの懸念表明に留まっている感がありありです。
つまり、中国はメリットがデメリットを上回ると考えれば、自らの覇権拡大に動くということです。
具体的には、中国は、「尖閣諸島に武力侵攻しても、欧米諸国が非難表明に留め、経済関係を絶たない」と見れば、躊躇なく行動に移すかもしれないということです。
ですから、今回の国家安全法に関しても、日本を含め各国が強硬な姿勢を打ち出すことが、中国の覇権を押し留めるうえで重要です。
既に、中国は経済力の弱い国々に対しては手をまわしているので、先進各国が協力して強い経済制裁を実施する必要があります。
さもなければ、世界から「自由、民主、信仰」といった価値観がどんどん失われることになるでしょう。