先日、ソフトバンクの社員が機密情報を持ち出したとして逮捕される事件がありました。
警察は、ロシアによるスパイ事件と見ており、ロシアの外交官を書類送検する方針とのことでした。
ただ、今回、持ち出された情報は、通信設備の設置や管理に関するものとされ、軍事技術や部隊情報の取得を狙って主に自衛隊員を対象としていたこれまでのスパイ事件とは様相を異にします。
これが事実なら、国家が安全保障のために高度な軍事機密を盗んだというよりは、施工業者が必要とするコスト削減のノウハウをライバル業者から盗んだと言われてもおかしくないレベルの話です。
スパイの防止についての取り組みが緩いとされる我が国ですから、国家の安全保障のために、毅然とした態度を取るとともに管理を徹底すべきであることは言うまでもありません。
一方で、今回の事件をもって、ロシアをことさら敵視するのは、日本の安全保障にとってマイナスです。
中国をはじめ日露関係が強化されることを好ましく思わない勢力があることも事実ですから、冷静に日露平和条約の締結に向けた努力を継続すべきではないでしょうか。