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2020/01/03【心は脳にあるのではない】

 長年、寝たきりのご家族を介護している知人がいます。

 認知症により脳の萎縮が進み、言語も喪失し、いわゆる全介護の状態とのことです。
 

 その知人が話していたのですが、ご家族である患者さんが、検査やレスパイト(介護者の日々の疲れ、冠婚葬祭、旅行などの事情により、一時的に在宅介護が困難となる場合に期間を設けた入院の受け入れを行い、介護者の負担軽減を目指す仕組み)などで入院した際に、対応する看護師さんや介護士さんによって、患者さんの退院後の体調が違うとのことです。
 

 どういうことかというと、看護師さんなり介護士さんが、患者から表面的な反応がないと分かっていても、全てを理解しているとの前提で対応すると、そのご家族の状態が落ち着くと言うのです。

 反対に、物事を理解できないという前提で事務的な対応に終始されると、その後の体調も不安定になりがちとのことです。
 

 私は、「肉体が病んでいても、魂は健全」という霊的な真実を示す一例であると実感しました。

 肉体の病気や障害などで、周囲のことが理解できていないと思える人でも、霊や魂といった部分では、健常者と同じように状況を理解できるのです。
 

 言い換えれば、人間の心は脳にあるのではないということです。

 こうした霊的な真実を理解することは、医療や介護の現場でも大切なことです。

 医療や介護の現場は過酷であり、できるだけ余計な手間をかけられないという実情は理解できますが、日本の医療や介護をもう一段高い次元に引き上げるためには、霊的な人生観を前提に対応することが必要であると考えます。