米大統領選の民主党の指名争いでは10人以上が立候補していますが、その中で左派といわれる人を中心に巨大IT企業解体論が浮上しています。
GAFAなど巨大IT企業には、膨大なデータを保有するなどして力が集中しており、新たな権力者として民主主義を脅かす存在になる恐れがあるなどの声もあることは事実です。
ただ、国際間の競争が激化する中で、GAFAなど力のある米国企業だけを標的に解体を進めると、労せずして中国企業に経済覇権・IT覇権を握られてしまう可能性もあります。
特に、事業規模がそのまま研究開発の投資規模に繋がるような分野では、国家ぐるみで大規模に研究開発を進めている中国企業に追い抜かれ、技術や知識面で埋めがたい差が生じかねません。
ですから、GAFAを解体する前に、巨大IT企業を対象に時代に合った公正な競争環境の維持や厳格な個人情報の管理などを行うための法整備を行うとともに、GAFAに対し公益企業としてもっと社会的責任を果たすように求めることが先ではないでしょうか。
さもなければ、民主主義を守る目的のGAFA解体論が、より大きな民主主義の危機を招くことにもなりかねません。