防衛省は、最新鋭のステルス戦闘機「F-35」について、短距離離陸・垂直着陸が可能な「B」型を導入すると発表しました(※)。
政府は、F-35の調達数を147機とし、その内42機を「F-35B」とすることを既に閣議了解しており、今後、事実上の空母化の改修を行う海上自衛隊の「いずも型」護衛艦2隻への搭載が見込まれます。
ただ、いずも型護衛艦には多く見積もってもF-35Bを10機程度しか搭載できないと見られるうえに、空母保有に対する内外の批判に配慮してか、政府はいずも型には戦闘機を常時搭載しないとしているので、42機という数字は多いようにも思えます。
もちろん、F-35Bは艦載以外にも、今まで戦闘機を運用できなかった短い滑走路でも運用可能となりますし、有事の際、破壊された滑走路からも運用できる可能性があるので、戦闘機運用の自由度が高まるメリットがあります。
しかし、自衛隊の管理する滑走路であっても、戦闘機の運用を考慮していない滑走路は、コンクリートではなくアスファルト製であることが多く、F-35Bの高熱の排気に耐えられないので、すぐに部隊運用の自由度が高まるという訳でもなさそうです。
そう考えると、将来、更なる空母保有のための布石とも考えられますが、政府からはそうした話はありません。
国防を強化する方向性は正しいと考えますが、F-35Bは通常の離発着型である「F-35A」に比べて、航続距離や兵器搭載量などが劣る上に、機体単価や運用コストも割高と見られていますから、それぞれの型の調達数についてはもっと透明性を持って説明する必要があるように思います。
本来であれば、こうした点についても、国会で議論してもいいはずです。
そのために、国会議員は軍事の知識をもっと持って然るべきではないでしょうか。
※:8月16日付共同通信ニュースhttps://this.kiji.is/535035621765465185?c=39546741839462401