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2019/08/18【日台の防衛協力の強化を】

 米国は台湾に対し、最新鋭の戦闘機の売却を決定した模様です。

 売却するのは「バイパー」と呼ばれる「F-16E/F」の最新型です。

 F-16は初飛行が40年以上前でありステルス機ではありませんが、改良を重ねていわゆる「第4世代機」としては一級の性能を持っており、「J-10」や「J-11」など中国の主力である第4世代機とは十分以上に渡り合えると見られています。

 台湾は、長年、米国に戦闘機の売却を要請していましたが、中国との関係に配慮した米国が最新鋭機の売却を保留してきた経緯があります。

 今回、台湾防衛を重視するトランプ政権が、米中対立の激化を受けて、中国に対し台湾カードを切った形です。

 ただ、台湾は既にF-16の初期型である「F-16A/B」を保有しており、もともとはこれらの機体をF-16E/F相当に改修する計画でした。

 現代の戦闘機は、パソコンのCPUを交換して能力を高めるように、アビオニクスと呼ばれる機載の電子機器を交換することにより、最新鋭機と同等の攻撃能力を持つことが可能です。

 もちろん、機体の経年劣化は如何ともし難いのですが、場合によっては、燃料タンクの増設で作戦行動距離を伸ばせますし、エンジンすら高出力のものに交換することも可能とされます。

 ですから、今回のF-16売却は、最新鋭戦闘機の配備というよりは、戦闘機の配備数の増加ということのほうが、台湾にとって意味が大きいのかもしれません。

 急速に数を増やしつつある中国軍の「第5世代機」を考えれば、台湾が本当に欲しいのは同じ第5世代機である「F-35」のはずですが、米国は売却には応じていません。

 中国への政治的な配慮とともに、万一、台湾が中国に統一された場合に、兵器の機密が中国に渡ることを恐れ、本当の意味での最新兵器の売却には慎重なのかもしれません。

 こうした状況を踏まえ、台湾防衛が安全保障上の死活問題とも言える我が国こそ、台湾の防衛能力向上に積極的に協力すべきと考えます。

 例えば、次期戦闘機の台湾との共同開発はその一つではないでしょうか。