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2019/08/06【日本も恐れることなく航行の自由作戦を】

 中国は先月、対艦弾道ミサイルと思われる発射実験を南シナ海で行いました。

 中国だけが保有する空母キラーとも言われる対艦弾道ミサイルの発射は、「南シナ海は中国の海であるから外国の軍艦は近づくな」という意思の表れと見られます。
 

 一般的な対艦ミサイルと異なり、音速の約10倍の速度で垂直方向から落下してくる対艦弾道ミサイルは、迎撃が困難とされます。
 

 ただ、中国の対艦弾道ミサイルは、空母など、毎時30ノット以上で移動する目標を、本当にピンポイントで攻撃可能なのか、未だに懐疑的な見方があります。
 

 弾道ミサイルが高速を得るためには、一旦、大気圏外に出る必要がありますが、大気圏に再突入する際は、大気との摩擦で高温になるため、一定の時間、電波などを送受できないとされます。

 その後、一定程度減速し、電波などを送受できる状態となり、ミサイル弾頭自らのセンサーによる情報や、他のセンサーから送られてくる情報を得ることができたとしても、電波を送受する以上は、ECM(「電子妨害装置」ないし「電子対抗手段」)と呼ばれる電波妨害の対象となります。

 特に米軍は、このECMの能力が高いことから、ミサイルをハードキル(物理的破壊)しなくとも無力化(ソフトキル)することが可能とされます。
 

 仮に、米軍のECMを突破する技術を中国が保有しているのであれば、それは対艦弾道ミサイルに限らず、航空機や艦船から発射される他の一般的な対艦ミサイルにも応用できるはずですが、そうした特別な誘導装置の存在は聞こえてきません。
 

 従って、対艦弾道ミサイルは米空母を近づけないようにするための張子の虎である可能性も捨てきれません。
 

 とはいえ、航行の自由作戦に参加する米艦の多くは、弾道ミサイル迎撃能力を備えた艦艇が中心なので、米軍も対艦弾道ミサイルを意識しているのは間違いありません。
 

 日本も、中国による国際法に反した不当な主張を認めない姿勢を明確にするために、弾道ミサイル迎撃能力を有するイージス艦を航行の自由作戦に参加させるべきではないでしょうか。