近年、中国の海洋調査船が、国連海洋法条約に反して、許可なく日本の排他的経済水域内などで調査活動を行い問題となっていますが、そうした違法な調査を行っていた調査船と同型の中国船が、日本国内の港に入港していたことが明らかになっています(※)。
問題の船は、中国の海洋地質調査局に所属する海洋調査船で、日本国内の民間会社の委託を受けて、洋上風力発電建設のために秋田県沖の日本領海内で海底の調査など行う目的で、今年4月に新潟港に入港したものです。
結局、数日停泊した後、秋田県沖に向かうことなく帰途についたとのことですが、中国公船のこうした動きは日本の安全保障上、極めて不適切ではないでしょうか。
海保によると入港の手続きは合法的に進められたとのことですが、現在の日本の法律では、民間会社の委託で外国の公船が調査を行ったとしても、必要な書類を提出すれば、問題は無いとのことです。
しかし、中国のこの種の船艇は、経済活動のための海洋データの収集だけでなく、潜水艦の航路情報など軍事的なデータも収集可能であり、中国軍の活動に利用される恐れがあります。
しかも、新潟県沖や秋田県沖では、日本国内で数少ない海底油田が存在することが知られており、最近ではメタンハドレートの存在も確認されている海域です。
従って、日本の権益を独占的に保全すべきことは言うまでもありません。
今回の一件は、調査の直前になって政府から当該の民間会社に対し、何らかの要請があって調査が中止になった模様ですが、中国公船による日本周辺の海洋調査に対し、日本政府は少し野放図なのではないでしょうか。
※:7月30日付NHKニュースhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190730/1030008808.html