東京電力柏崎刈羽原発の再稼動に向けて、その安全対策費用が1兆1千億円以上にまで膨らむ見通しとなりました。
これは、新規制基準によるテロ対策などの費用が増大したためです。
原発に反対する立場からすると、規制基準の強化で原発の再稼動を難しくすることは、歓迎すべきことなのでしょうが、対策費用が膨らむということは、再稼動しようがしまいが、その費用が電気料金に転嫁され、私たちの生活を圧迫するということを忘れてはならないと思います。
もちろん、安全対策を十分に行った上で再稼動を行う必要はありますが、航空機の衝突などの規制基準が過剰ではないのか、再考すべきです。
また、原発再稼動の議論は、経済性の観点からのみなされるべきではありません。
現在、中東では緊張が高まっており、ホルムズ海峡が封鎖される事態も現実味を帯びてきています。
現時点で、再生可能エネルギーのみで日本の電力需要をカバーすることは不可能ですから、不測の事態に備え、いつでも原発を再稼働できる体制を整えておく必要があります。
一方で、今回の参院選で与党の候補が敗れたことからも分かるように、柏崎刈羽原発の立地する新潟県内でも再稼動に反対する声は少なくありません。
参院選の結果は、いわゆる忖度発言の影響などがあり、原発の再稼動のみが争点となった訳ではありませんが、柏崎刈羽原発で発電された電力のほとんどが首都圏に送電される中で、日本のエネルギー安全保障という大切な役割を担っているということを地元だけでなく全国民に知ってもらう責任が国にもあるのではないでしょうか。