竹島周辺の日本領空で、領空侵犯をしたロシアの早期警戒管制機に対し、韓国軍の戦闘機が警告射撃を実施しました。
露軍機の領空侵犯は問題ですが、我が国の主権をないがしろにする韓国軍機の行為も看過することはできません。
日本政府は、ロシアと韓国に対し抗議しましたが、それは当然の行為です。
ただ、今回の領空侵犯で注目すべきは他にもあります。
それは、領空侵犯をしていないものの、同じ空域に露軍の爆撃機2機と中国軍の爆撃機2機が飛行しており、それぞれが合流して飛行するなど、何らかの意図を持った行動が確認されていることです。
今回領空侵犯した早期警戒管制機も、これらの編隊を支援していた可能性があります。
これに対しロシアは、中国と共同で警戒監視活動を実施したことを明らかにしています。
同時に、中露が軍事協定締結に向けて協議中であることも明らかにしています。
ですから、今回の領空侵犯に関わる一連の飛行は、韓国への牽制の可能性も捨てきれないものの、日米に対する政治・軍事的なメッセージと解釈できるのではないでしょうか。
今回の件は、中露の軍事的な結び付きを示す一例と言えます。
中国の海洋進出は、南シナ海や東シナ海に留まらず、日本海への進出へと拡大しており、その侵略的な装備と相まって、中国の脅威は一段と深刻になっています。
こうした中で、中露が強く結びつき日米と対峙する構図は、日本にとって最悪です。
日露関係はこう着状態にありますが、先のG20は日露平和条約締結に向けての事実上最後のチャンスであったにもかかわらず、何の進展もありませんでした。
ロシアに対する経済制裁解除、ロシアのG8復帰への仲裁、北方領土交渉の事実上の棚上げなど、日本が取れる選択肢はいくつもある訳ですから、対中国を踏まえ、政府にはぜひ再考を願いたいと考えます。