今回の選挙戦で、野党だけでなく与党までもが最低賃金の引き上げを訴えています。
日本では、最低賃金で働いている人が少なくないため、労働者にとって非常に歓迎されやすい選挙公約です。
一方で、既に人手不足を背景に賃金が上昇する傾向にある中で、更に政府が強制的に賃金を引き上げることでの弊害も考慮しなければなりません。
引き上げ額にもよりますが、あまりに大幅な引き上げを行うと、企業が支払える総賃金に限度があるため、雇用を減らさざるを得ない状況になるからです。
つまり、ある人は賃金が上昇しても、別の人が失業することもあり得るということです。
これに対し、賃金を引き上げても、可処分所得が増えて消費が増大するので、景気拡大により結果的に雇用への影響は限定的との声もあります。
ただ、今の日本では、最低賃金で労働者を雇っている会社の多くは中小零細企業であるため、景気が上向き収益が増えるまで体力が持ちません。
また、賃金上昇分の費用は製品やサービスの価格に転嫁されますので、値上げしてそのまま売り上げが増える保障はありません。
中には、人件費が一気に上昇するのであれば、これを契機に自動化や省力化を進めるという経営者もいます。
人件費の大幅な上昇が、自動化設備導入費用の返済額を上回る場合には、経営者としては当然の判断です。
更に、人件費の増加は国際競争力を低下させる可能性もあります。
ですから、最低賃金を引き上げるという公約には注意が必要です。
本当に労働者の可処分所得を引き上げたいのであれば、消費税や所得税を引き下げるべきであると考えます。
これならば、雇用に影響がありませんし、最低賃金を大きく上回る賃金で働いている人にも恩恵があります。
減税は、景気回復への明確な処方箋となります。
【参考】:幸福実現党応援TVチェンジジャパン街宣シリーズ「7月13日 最低賃金とその代案】及川幸久 チェンジジャパン」https://www.youtube.com/watch?v=6PWJgpQN5U8